こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。
前編からの続き。
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自分では歯ぎしりをしているつもりもないし、家族や周りにも歯ぎしりをしているとは聞いたことが無い。なのに歯医者では歯ぎしりをしていると言われる。
私、本当に歯ぎしりしてますか❓
歯医者で説明を受けて、
言っていることは理解できたけど、心の中ではいまいち納得できない。
直接疑問を口にするのも何となく気が引けるし。
今後言われるままに治療を受けても大丈夫かな?
説明をしている側としては、みなさんにそのような疑問を感じさせることのないように、努力をしているつもりではありますが、
自らの至らなさから診療が終わってから、
そう思われたり、感じたりしたことのある方がいらっしゃるかもしれない。
あの時の説明は言葉が足りなかったかも。違う言い回しの方が伝わったかな?
と反省することもしばしばです。
今回、お伝えしている<歯ぎしり>のケースでは、
実はどちらも間違っていないし、ましてや嘘を言っているわけではもちろんありません。
それぞれが頭に思い描いている<歯ぎしり>に少し違いがあることですれ違いが生じてしまっているんですね。
皆さんが「歯ぎしりをしてますか?」と聞かれた時に思い浮かべるのは、
寝ている間に「ギリギリ・・・ギギッ!」と周りで寝ている方の安眠を妨げ、いびきと共に「お父さんうるさい!!」と家族に容赦なく責められるアレですよね。
英語ではGrinding(グラインディング)。一般的にGrindingだけでは「きしり」「摩擦」「ギーギー鳴る、きしる」といった意味のようで、Tooth Grinding あるいはTeeth Grindingで、「歯ぎしり」を表すようです。一本の歯だけがギシギシと鳴ることは考え辛いので、複数形のTeeth grindingがより一般的かもしれません。
実はもう一つ、「歯ぎしり」を表す Bruxism (ブラキシズム)という英単語があります。
歯科において、歯ぎしりという病名をカルテに記載する時の略称は、「Brx」。
つまり、こちらのブラキシズムという病名が用いられます。
グラインディングとブラキシズムが全く同じものを指していれば、先ほどのようなすれ違いは生じないのかもしれませんが、
ブラキシズムという病名がつく場合には、グラインディング以外の意味も含まれているのです。
ブラキシズムは、①グラインディング(狭義の歯ぎしり),②クレンチング(くいしばり癖),③タッピング(歯をカチカチと咬み合わせる運動)の3つに分類される。
(加藤熈 (1994), 最新歯周病学 医歯薬出版株式会社)
つまり,歯医者さんが<歯ぎしり>といった言葉を使う際には,上記の①〜③を全て含んだ「ブラキシズム」という意味で用いており,患者さんがイメージする<歯ぎしり>は①の「グラインディング」を指していることで、すれ違いが生じてしまう可能性もあるかもしれません。
そして、歯科医師がブラキシズム(歯ぎしり)を疑う際に最もわかりやすいのが、歯の磨耗。
ムシ歯や酸蝕症のように歯の表面が溶けているのではなく、明らかに機械的にすり減っている様子が認められるとブラキシズム、その中でもグラインディングが習慣的に生じている可能性が高いことを疑い、
「歯ぎしりを指摘されたことはありませんか?」
と伺うことになります。
ただし、
咬耗(歯のすり減り)はグラインディングと密接な関係があるが,過去に行っていたグラインディングの後遺症として存在するだけで,現在はグラインディングしていない場合もある。
(加藤熈 (1994), 最新歯周病学 医歯薬出版株式会社)
という事や、ギリギリと音がしているとしても周囲に聞こえるほどではない場合もあったり、毎晩歯ぎしりをしているかどうかも人それぞれであるため、
患者さんが
「歯ぎしりをしている事を周りの人に指摘されたことはありません。」
という事も当然ありうる事です。
臼井は、常々、皆さんが疑問や聞きたいことをそのままにせず、遠慮なく聞ける雰囲気を作りながら皆さんの治療を行っていきたいと思っています。
何でも、気になったことは聞いてみていただけると嬉しいです。
ちなみに、以下の過去ブログでも、歯ぎしりについてお話しをさせて頂いておりますので、
気になった方は、読んでみてくださいね。