こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。
これまでも、何度かお話ししてきましたが、
歯周病の原因は、プラーク(歯垢)に含まれる細菌にあります。
定期的に歯科医院で歯石の除去を行ったり、ブラッシング指導を受けて頂くことを勧めるのは、ひとえに毎日のブラッシングでこのプラークを出来る限り除去できるようになって頂くことが歯周病を予防するのにも、改善するのにも必須であるからと言えます。
歯科医院で歯周病について説明を受けたときに、かぶせ物のかみ合わせが高いので調整することを勧められたり、歯ぎしりや食いしばりが強いためマウスピースを勧められたりしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
その様な話を聞くと、
かみ合わせに高いところがあったり、歯ぎしりや食いしばりが強いと歯周病になりやすいのかな?
と思われる方もいるかもしれません。
かつて1900年前半の頃には、歯周組織に外傷性の損傷を引き起こす咬合(外傷性咬合)は、歯周炎を引き起こす重要な原因と考えられていたこともあるそうです。
が、その後の研究により、その可能性は低いと考えられています。
しかし、歯肉に炎症が生じる程度の歯肉炎を超えて、歯周ポケットが生じるような歯周炎になってしまった場合には、歯ぎしり、食いしばりや、高い噛み合わせによる過度の咬合負担は、歯周炎の進行を加速させるリスクがあるため、早期に改善を図ることが必要になります。
つまり、歯ぎしり食いしばりや、高い噛み合わせは、直接的な歯周病の原因ではないものの、歯周病を悪化させる大きな要因になるのです。
歯肉ポケットの深さを図る歯周組織検査において、1~3mmであれば適切なブラッシングを続けてしっかりとプラークコントロールを行う事で、歯肉の状態を保つことが可能です。
ポケットの深さが4mm程度になってしまった場合には、まずはブラッシングを毎日丁寧に行いながら、歯科医院での歯石の除去(スケーリング)を行うことで、ポケットが3mm以下になることを目指しましょう。
4~5mm以上のポケットが認められた場合には、歯周病を悪化させる要因があれば改善した上で、スケーリングやブラッシング指導とご自身でのプラークコントロールの徹底を行う事で、歯肉の状態の改善を図ります。
元々歯ぎしりや、食いしばりが強い方は、そうでない方よりも、より一層歯周病にならないようにしっかりと予防しておくことが大切です。
場合によっては、以前にかぶせた被せ物や、詰め物が、噛めないほどではないけれど歯周組織に負担をかけてしまっている事もあり、一度外して歯肉の状態が改善した後に改めて被せなおし、詰めなおしをした方がいい場合もあります。
ムシ歯、歯周病、歯ぎしり食いしばり、それぞれ原因は異なり、それぞれに対して治療を行うこともありますが、お口の中の症状は、それらが互いに悪影響を及ぼしてしまうことも少なくないので、一つ一つは大きく気になる症状はなくとも、定期的に歯科を受診してお口全体を検査しておくことをおススメします。