永久歯の数が足りない先天性欠如って❓①

こんちには。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。

3年生も終盤に近づき、まだいつもは素直な様子に安心しつつも、時折、数年後には確実に訪れる思春期の片鱗がちょくちょく見られるようになってきた臼井家3兄妹の2番目Hカ。

左下の2本目の前歯(左下側切歯)に先天性欠如の可能性がありながら、比較的順調に生え変わりが進んできた様子は、過去のブログをご覧ください。

前回→「歯の生え変わり方〜Hカ9歳の場合〜1年半ぶり」

から約半年が経過した先日、パノラマレントゲン写真を撮影して、永久歯の数を数えてみました。

1〜8の数字が永久歯。アルファベットが乳歯を表しています。

パノラマレントゲン写真では、お顔を正面から見た状態であるため、向かって左側がお顔(お口)の右側になります。

上のHカのパノラマレントゲン写真では、残っている乳歯は10本(C〜E)で、右下と左の上下に3本の8番ができ始めていることが見て取れます。

この8番目の永久歯は、いわゆる親知らず(智歯)です。

生えてくるのはまだまだ先で、個人差もありますが、10歳の頃にはすでに作られ始めているので、レントゲンを取れば親知らずがあるかどうかも判別できます。

続いて、永久歯の数を確認してみると、右下の前歯は1〜8まで連続して確認されましたが、反対の左下では2が抜けていることが分かります。上の永久歯は左右とも1〜7(左上は8も)まで過不足なく作られていることが判りました。

一本一本の歯の形や大きさには、それぞれ特徴があり、特に3本目の犬歯は永久歯の中でも歯根が長いため、左下の2本目に並んでいる永久歯は2番(側切歯)ではなく3番(犬歯)であると判断できます。

今回のパノラマレントゲン写真から、Hカは左下2番が先天性欠如であることが確定しました。

この先天性欠如が生じていることで、下の歯の並びが左側に寄っていて、上の前歯の間と下の前歯の間が一致いない正中の不一致が生じていることも判ります。

左右対称に1本ずつ欠如している場合には、正中のズレも生じないことがありますが、Hカのように片方だけ1本足りない場合には、足りない方にズレてしまうことが多くなります。

ただ、左下1と3の間には隙間が生じていないこともあり、今後、隙間ができてくるとしたら、これから生えてくる4番の手前(近心 3と4の間)あたりになるかも知れません。

さて、この先天性欠如ですが、実は約10%の確率で発生すると言われています。

10人に1人。この割合は左利きの人やAB型の人の割合と同じくらいで、実はそれほど珍しいわけではありません。

Hカと同じように前歯が隙間なく並んでいたり、先ほどお話ししたように左右対称に1本ずつ足りないような欠如の仕方であれば、見た目もあまり気にならず、歯科検診や歯医者さんでレントゲンを撮った時に、指摘されて初めて自分に歯が足りないことを知ったという方もいらっしゃるかも知れません。

先天性欠如そのものは、珍しいものではなく食生活や見た目にもあまり気にならないケースも少なくないため、永久歯が足りないことを知ったからといって必ず矯正や治療を行わなくてはならないわけではありません。

しかし、欠如の仕方や本数によっては、治療や定期的な経過観察を行なっておかないと、後々大きなお口の問題の発展してしまう可能性がある場合も考えられるため、ご自分の歯が何本あるのか、どのような状態であるのかを知っておくことが大切です。

お子さんの場合には、Sカのように生え変わりの段階で今後生えてくるはずの永久歯がちゃんと作られているのかを早めに確認しておくことで、生え変わりや歯並びなどへの影響を予想しながら経過を見て、必要があれば矯正治療を検討することができます。

次回は、そのまま放置すると心配なケースの先天性欠如とはどのようなものなのか、について続けてお話しさせて頂きます。