歯科で睡眠時無呼吸症候群治療❓②

こんにちは。仙台市若林区おろしまし歯科医院 臼井です。

前回→「歯科で睡眠時無呼吸症候群治療❓①」

に続いて、睡眠時無呼吸症候群についてのお話です。

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睡眠時無呼吸症候群で生じる自覚症状については、前回お話ししましたが、

この病気が怖さの一つに、十分な時間寝ているのに、実際には深い睡眠が取れていないことで、慢性的な睡眠不足の状態に陥り、昼間の眠気が車の運転中や仕事中にも襲ってくることで、大きな事故につながりかねないということがあげられます。

慢性的に眠気を感じるという方は、一度、睡眠時無呼吸症候群を疑って内科もしくは耳鼻咽喉科に相談してみることをおススメします。

そして、歯科で行う事ができる睡眠時無呼吸症候群の治療について。

簡単にいうと、

下顎を前に出した状態で維持できるように上と下のマウスピース(口腔内装置,OA)を固定して、装着したまま寝て頂くことで、舌や口蓋垂(のどちんこ)が喉の奥に落ちてしまう事を防いで、寝ている間に呼吸がしやすいように気道を確保する。

という方法です。

歯ぎしりが強くて歯科でマウスピースを作ったことのある方はイメージしやすいと思いますが、ハードタイプのマウスピースを上下とも作って、くっつけてある状態です。

どの位、下顎を出した状態で固定するかは、個人個人の症状によって異なります。

最初に、仰向けで寝たときの下顎の位置と、下顎を一番前まで出した時の位置から、ある程度症状の緩和が期待できる数値を割り出して上下を固定し、使っていただきながらいびきをかかなくなったり、ぐっすりと眠れた感覚が得られたなど、睡眠時無呼吸症候群による自覚症状が緩和してきているかどうかを伺いながら、必要があれば上下を分割して、再度位置を修正して固定する調整を行います。

下顎を前に出せば出すほど、仰向けで寝たときの気道は広がるため、効果は得られやすいと言われていますが、

実際には、あまりに下顎を前に出しすぎると、顎が辛くなってかえって寝づらくなったり、

歯ぎしりや顎関節症なども併発している場合には、そちらにも負担がかからない様に考慮しながら調整をして最終的な位置を決めた後、一定期間使用して頂きます。

ただし、このマウスピースを用いた治療で改善できるのは、あくまで軽度の睡眠時無呼吸症候群に限られます。

先ほど、まずは内科や耳鼻咽喉科に相談することをおススメしたのは、実際にどのようなタイプで、どの程度の睡眠時無呼吸症候群であるのかを診断するには、睡眠中の呼吸状態を計測する機器を装着して実際に寝ている間のデータを収集して専門的に評価してもらう事が必要であるからです。

睡眠時無呼吸症候群の程度が重度であったり、マウスピースを用いた治療法が適さない場合にはそのまま内科や耳鼻咽喉科などで治療を行う必要があります。

歯科医院に相談して頂いた場合でも、実際にマウスピースを製作するためには、内科や耳鼻咽喉科での診断を受けて頂くことが必要になるため、睡眠時無呼吸症候群かどうか心配な方は先にそちらを受診して頂いて、担当医の先生がマウスピースによる治療が効果的だろうと判断し、歯科でマウスピースを作るよう依頼があった際に、我々が製作することになります。

また、そのように専門医からの依頼書をお持ちいただくことで、歯科における睡眠時無呼吸症候群に対するマウスピースの製作は保険適用となりますが、依頼書がないと保険外診療となります。

マウスピースによる治療の効果についても、一定期間使用した後に、改めて診断した担当医の先生に評価してもらうことで、初めて治療前と比較ができるので、歯科でマウスピースを作って終わるのではなく、その後も担当医の指導のもと、根本的な原因の改善を行うようにしましょう。

(参考)

奥野健太郎他著 「睡眠時無呼吸症候群の口腔内装置治療」 医歯薬出版部式会社, 2014.