こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。
寝ている時に呼吸がとまってしまう<睡眠時無呼吸症候群>という病気をご存知ですか?
睡眠時無呼吸症候群
眠り出すと呼吸が止まってしまうため、過眠や高血圧などを引き起こす病気。
詳しくは、寝ている間に10秒間以上呼吸が止まっている状態が、5回以上生じてしまうようだと睡眠時無呼吸症候群であると判断されます。
眠りが深くなり力が抜けた際に、舌が喉の奥に沈み込み(舌根沈下)、気道が狭くなった状態で口蓋垂(のどちんこ)が咽頭部に吸い込まれ気道がふさがってしまうことで呼吸ができなくなってしまいます。
寝るたびにいびきをかいている方の28%に睡眠時無呼吸症候群の可能性があると言われています。
またすでに睡眠時無呼吸症候群と診断された患者さんのうちの90%の方がいびきをかくというデータがあるそうです。
いびきをかいている=睡眠時無呼吸症候群というわけではありませんが、可能性を疑うひとつの目安と言えます。
では、いびきの他にどのような症状があると睡眠時無呼吸症候群の可能性が疑われるのでしょうか?
①夜に十分な時間寝ているのにもかかわらず、昼間に強く眠気を覚える。
②寝ている時に、息苦しさで目が覚める。
③寝返りがとても多い。
④朝起きたときに頭痛がする。
⑤毎日目覚めが悪い。
⑥昼間に生活していても集中力が低下していることがよくある。
⑦体がだるい。
⑧起きたときに口がとても渇いている。
これらの自覚症状がいくつも重なっているようであれば、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
また、自覚症状からは気が付きにくくても、近くで寝ている人が、それまで大きないびきをかいていたのに、突然ピタッといびきが聞こえなくなり、数十秒、ひどい時には数分の間、静寂が続いたかと思うと、フガッと大きく息を吸い込むような状態が毎日続いているようであれば、その人は睡眠時無呼吸症候群である可能性がとても高いので教えてあげてください。
私の父親も完全にその様な状態で、小さい頃に一緒に寝ていても、呼吸が止まっている時間が長すぎて、あれ?大丈夫かな?と、不安になり、フガッ!と呼吸が戻るとホッとしていたことを思い出します。
睡眠時無呼吸症候群の原因は、肥満、小顎、舌や扁桃肥大などがあります。
根本的な治療としては、減量をして肥満を解消する。口腔外科的に顎の幅や舌の大きさを改善する。耳鼻咽喉科で扁桃を除去する。などの治療が必要になりますが、
対症療法として、医科で行う経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)と呼ばれる、寝る時に酸素マスクのようなマスクを装着して空気を送り込んで気道を開いた状態に保つ方法と、
歯科で行う寝る時にマウスピースを装着して、下顎を前に出した状態で保つ事で舌根や口蓋垂の沈下を防ぐ方法があります。
次回は、歯科で行うマウスピースを用いた睡眠時無呼吸症候群の治療についてお話します。
(参考)
奥野健太郎他著 「睡眠時無呼吸症候群の口腔内装置治療」 医歯薬出版株式会社, 2014.