こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。
前回は、歯並びに影響を及ぼす大きな要因として、歯の大きさ(横幅)と、顎の大きさ(成長)について、お話しました。
今回からは、その他に歯並びに影響する要因についてのお話です。
まず、永久歯は初めから決まった位置に生えてくるのではなく、〈様々な力〉によって押し動かされ、バランスが取れた位置に最終的にたまたま収まっているに過ぎないという事をお伝えします☝️
さらに<様々な力>は、歯が生えてくる時に歯そのものに影響を与えるだけではなく、歯が生えてくる以前に、顎の骨の成長に対しても大きな影響を及ぼします。
大人の方でも、何かの事情によって歯を1本失った後に、後ろの歯が手前に傾いてきたり、
失った歯と噛み合う歯(対合歯)が落ちてきたり、下の歯であれば上に上がってきたり(伸びてきた様に見えます)、または、そうなる可能性について説明を受けた経験がある方もいるかもしれません。
完全に永久歯が生えそろってからも、力のバランスが変わると思っているよりも簡単に、大きく歯は動いてしまう事があり、生えてきている途中の永久歯は、さらに想定外の動きをすることもあります。
では、永久歯が生えてくる時に影響を受ける<様々な力>とは、どのようなものでしょうか?
主なものは
①舌の力
②頬の力
③唇やお口の周りの力
④隣りの歯が生えてこようとする力
です。
かなり簡潔に言うと、
①舌の力、②頬の力、③唇やお口の周りの力、
のバランスの取れたところに大まかに生えてきた上で、
同時に④隣りの歯が生えてこようとする力、に押されて最終的な位置に収まる。ことになります。
永久歯の生え方には、<力>以外にも多くの要因が関与していますが、歯並びを悪くする他の要因が無い場合で、これらの力のバランスが理想的であれば、永久歯はきれいに並んでくれることでしょう。
ところが、この<力のバランス>を悪くしてしまう習慣が、顎の形に影響を与え、歯が並ぶ位置にも大きな影響を及ぼすことで、歯並びが悪くなってしまうことがあるのです。
学生時代の教科書を紐解くと、
「悪習癖あるいは不良習癖といわれる口腔習癖は、その習癖から生じた慢性的外力が口腔周囲組織や歯に圧力として作用して不正咬合を引き起こす。当然その習癖から伝達される圧力の強弱、時間の長短、持続する期間などによって発症する不正咬合の程度や様相は異なる。」(第4版 歯科矯正学 医歯薬出版)
とあります。
歯並びを悪くする習慣としてよく知られているのが
●指しゃぶり●
吸う動作のため、舌によって外に加わる力よりも、頬によって内向きに加わる力が強くなり、上顎の骨が細く前に尖ったような形になったり、しゃぶっている親指に押されて上の前歯は前に、下の前歯は後ろに傾斜してしまう可能性があります。
ただし、赤ちゃんが指しゃぶりをするのは、お口の機能の発達や、ストレスの発散に必要であると考えられており、
「指しゃぶりをしているから、すぐに辞めさせないと!」
と考える必要はありません。2歳までは温かく見守ってあげましょう😁
3歳のうちに、自然としなくなったり、声をかけてあげる位で改善出来れば大丈夫👌
4歳~5歳になっても指しゃぶりをしている場合には、歯並びが悪くなってしまう可能性があるためやめさせる工夫が必要です⚠️
いろんな工夫をされている保護者の方もいらっしゃるかと思いますが、
●手を使うような遊びや作業が増やしてあげることで、指をしゃぶっている暇が無くなるので少しずつ改善してきたり、
●起きている間はしないけど、寝る時にだけ指をしゃぶってしまうお子さんの場合には、疲れてぐっすり寝ついてしまうくらい思いっきり遊ぶ!
というのも効果があるそうです。
もちろん、これらは一例で、指しゃぶりがやめられない子どもたち一人一人で効果的な方法は異なると思うので、
「うちの子はこれで指しゃぶりがやめられたよ。」
という方法があれば、教えて頂けたら嬉しいです。
先ほどの学生時代の教科書の文章には続きがあります。
「したがって、歯や顎顔面の形態異常を引き起こすような習癖であっても、それがごく一時的なものであれば不正を引き起こすことはない。」(第4版 歯科矯正学 医歯薬出版)
指しゃぶりの他にも、歯並びを悪くする習慣はたくさんありますが、いずれにしても早い段階でその習慣に気づき、改善することでその影響を少なくすることができます。
時々、お子さんの行動や習慣を注意深く観察してみて、心配なことがあれば一度ご相談くださいね。
指しゃぶり以外については、次の機会にお話しします。