こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 歯科医の臼井です。
前回に引き続き、「根の治療」と言われてお口を開いている時に、いったいお口の中では何が行われているのか❓
についてのお話です。
ムシ歯の細菌が歯髄(神経)にまで達してしまい、ついには痛くて噛めない、何もしなくても痛いという歯髄炎になってしまった場合には、それ以上事態が悪化してしまうことを食い止めるために、残念ながら歯髄(神経)をとる「抜髄(ばつずい)」という治療を行う必要があります。
ということで、ようやくここからが、「根の治療って❓」の本題になります。
同じように思える「根の治療」のスタートは「抜髄」と「感染根管処置」の2つに分けられます。
ムシ歯の進行が神経にまで及んでしまって行うのが「抜髄」
それをも耐え忍んで一旦痛みもなくなり、治った!と勘違いされて放置した結果、ムシ歯の進行が根の先にまで及んでしまって行うのが「感染根管処置」
ということになります。
今回は、そのうちの「抜髄」を行うときにお口の中では何をしているのかについて。
「感染根管処置」については、また次のお話で。
進行の度合いにもよりますが、「抜髄」を行う歯は、刺激を受けると強く痛みます。
そこで、まずはしっかりと麻酔を行い、痛み無く神経をとる処置ができる準備を整えます☝️
ところが、「抜髄」が必要となるような、炎症をおこしている歯髄(神経)は麻酔が効きづらくなってしまっていることも少なくありません😓
そのことを考慮して色々な工夫 をしながら、麻酔をしていきますが、それでもジワッと痛みを感じたり、しみるような感じがする時には、我慢しないでどんどん左手を挙げてください🖐
ところで、何故歯医者では「痛かったら左手を挙げてください。」と言われるのか❓
ほとんどの歯科治療用ユニットは皆さんの右側から治療を行うようにできています。
つまり、我々歯科医や歯科衛生士も右側から、皆さんの頭側の範囲で動いていることがほとんどなので、右手を挙げて頂くと我々や器具に手が当たってしまう可能性があるため、「左手を挙げてください」というわけです。
手を挙げる際には、肘から先を静かに90度挙げるとベストです💪
手首から先だけだと、お口の中を覗いている我々には気づきにくく👀
肩から挙げると、たとえ左手であっても、照明や器具を扱っているスタッフにぶつかってしまう恐れがあるので、スッと肘から先を90度挙げて頂けると助かります🙆♂️
さて、話を戻して「抜髄」の方法について。
麻酔がしっかりと効いたら、まずは出来る限りムシ歯に感染した歯質を除去(削り)ます。
削る時のキュイーンという音が苦手という方は、こちらもご一読ください。
音が無くなるわけではありませんが、少しは気持ちが楽になるかもしれません😁
慎重にかつ丁寧に、感染した歯質をすべて除去すると、神経の入っている空間(歯髄腔)に達します。
この段階で、歯髄腔に達していなければ、もしくはぎりぎり達している程度であれば、
もしかしたら、まだ歯髄(神経)を残しておけるかもしれません❗️
その可能性がある時には、改めてお話させて頂いた上で、仮詰めや神経を保護するお薬を置いて様子を見ることもあります。
次が、いわゆる「歯の神経を取る」という処置。
針金のような、「ファイル」と呼ばれる器具を用いて根の先端までの感染してしまった歯髄を除去します。
カクレクマノミの親子とナンヨウハギが活躍するアニメ映画で、<シドニーワラビー通り42>にある歯科医院で<P・シャーマン>先生が行っていた治療が「根の治療」。
その時に、水槽の中にいる観察が得意なヒトデ達が「Kファイル」「Hファイル」と呼んでいる器具がこのファイルの種類です。
このファイルには、手用と電動があり、根の状態等により双方を使い分けて、根の先までの長さを測定した上で、根の内側の形態を整えます(根管形成)。
最後に、根の中を薬液を用いてよく洗浄して、お薬を中においたら、最後にしっかりと仮蓋をして「抜髄」は終了です。
歯髄(神経)を取り始めてから、最後に仮蓋をするまでの間は、極力お口を開いたままの状態で頑張って頂く必要があるため、皆さんに顎の疲れや、口の渇きなども伴う治療ではありますが、出来るだけ少ない回数で根の治療を終えるためには、この時にどうしても頑張って頂くことが必要となります。
お口を開いている時間をできるだけ短くできるようには、最大限スタッフと共に頑張っておりますので、ご理解いただけるとありがたいです。
多くの方に解りやすいといいな、との思いから、かなり大雑把な説明になっております😅
より詳しく知りたい方は、いつでもお尋ねくださいね👍
次回は、もう一つの「根の治療」のスタートである「感染根管治療」についてのお話です。