むし歯には見えないけど本当にむし歯なの❓

こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。

日頃、皆さんのお口の中をチェックさせて頂き、むし歯が見つかった時には、見えづらい部位の場合もありますが、できる限りご自身で鏡で見て確認して頂いております。

明かな穴が開いていたり、詰め物が取れている場合には、ご自身で見ても分かりやすくむし歯があることを分かっていただけるのですが、まだ穴は開いていないけれども削って詰める治療を行っておく必要のあるむし歯がある時には、

「ここがむし歯になっていますね。」と指し示しても、

なんとなく「?」といった表情になったり、「どこがむし歯になっているんですか?」と尋ねられることがあります。

痛みも、しみる感じもなく、直接見ても穴もないし、むし歯になっていることが信じられない。と思った経験が、ブログを読んでいただいている皆さんにもあるかもしれません。

虫歯でもない歯を間違って削られでもしたらたまったもんじゃない!

と思われる方は、

正しいです。

遠慮することなく疑問や不安を伝えてください。

その上で、どの様な理由で、その部位がむし歯であると診断し、削る必要があると判断したのか、しっかりと説明を聞いて、ご自身で納得した上で、治療を受けるという決断をして頂けると、我々も安心して治療を行うことができます。

今回は、先日いらした患者様が写真の撮影と、ブログへの掲載を快諾してくださったので、一見するとむし歯ではないように見えるけれど、実は削って治しておく必要があるむし歯になっている。という一つの例をご覧いただきます。

ご協力いただいた患者様本当にありがとうございます。

まずは、普段自分で鏡を見た時に、自分でも確認できる外側の写真。

矢印で示した歯と歯の間が、少しだけ黒く色づいている様に見えますが、この程度では、茶渋などのステインが歯に付いているのか、むし歯なのかはっきりとは分かりません。

もし、ステインの沈着や着色であれば磨いて取れる可能性がありますし、今後、変化があるのかないのか経過をみて判断しても手遅れになるとは考えづらく、

この見た目だけでむし歯だから削りましょう。というのはやや乱暴に思えます。

次は、デンタルミラーを用いて裏側から見た時の写真。

ご自宅にデンタルミラーをお持ちでなければ、なかなか自分では直接見ることが無いのが裏側です。

歯科医であればこの色の変化からむし歯の可能性が高いことが分かりますが、日常的にむし歯を見続けているわけでは無い方がこの写真で見ても、どこがむし歯になっているのか、なかなか分かりづらいと思います。

この状態で、ここがむし歯ですよ。と見せられても、

「どこが?」

「本当に?」

と、疑問に思われることは自然なことだと思います。

実は、ピンクの円の部分にむし歯があります。改めて前の写真を見直してみると周囲の健全な部分の歯の色と比べると、黒い色が透けて見えるのが何となくお分かりいただけるかもしれません。

次の写真は、先ほどの写真の左側の円の部分(この先の写真の赤丸は全て同じ部分を示しています。)をクローズアップして、外側から光を当てて撮った物です。

実は、歯に光を当ててみるとむし歯の部分がはっきりと黒く影に見えるのです。

これは透照診というむし歯の診査法の一つです。

ほぼ赤い円の範囲が黒い色が透過しているのが分かります。むし歯になっている部分です。

なお、光を通した時の写真は見えやすくなるよう調整してありますが、実際にみるともっとはっきりと黒い影とそうで無い部分とが分かります。

削ってCR充填(歯に近い色の樹脂で埋める治療)を行った後の写真。

黒矢印は、まだ削っていない反対側のむし歯です。

比べると見た目にも色の違いが分かるかと思いまさ。

埋めた部分に光を当てて見てみると、このように光を透過して白く見えます。

健全な削っていない部分とも光の通り具合が異なるので、

光を透過した際には、むし歯の部分、埋めた部分、健全な部分はそれぞれ判別できるのです。

この様に、直接見たり、光を透過して見たりという、目視して診査する「視診」だけではなく、実際には他にも様々な診査法を駆使して、最終的にむし歯と診断し、必要な治療を行うことになりますが、

他の方法については、いつか機会があればお話しさせて頂きます。