こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。
前回に引き続き「口腔機能低下症」についてのお話です。
ご自分や、ご家族に次のような症状ありませんか?
「食事中にむせる事が多くなってきた」
「よく噛まずに丸飲みするようになった」
「食べこぼしが増えてきた」
これらは、
お口の中に食べ物を閉じ込めて逃すことなく、噛み砕いて唾液と混ぜることで適度な滑らかさの塊を作り、気管に入る事なく、食道に確実に流し込む。
といったお口の働きの一連の流れが、上手く行えていない事で生じる症状です。
また、
「思うように喋りにくい」
「多くの歯を失った状態のまま放置しているため、食事に時間がかかる」
「ヨダレが口から垂れてしまう」
など、様々なお口の問題が「口腔機能低下症」によるものである可能性があります。
歯科医院で、口腔機能を評価するために行う検査には次のような項目があります。
①舌苔の評価
判定基準に従い、舌の表面に白いペースト状の舌苔(ぜったい)の付着の度合いを評価します。
②口腔乾燥の評価
1)口腔水分計という装置を用いて、口の中の水分量を評価します。
2)ガーゼを噛んで唾液がどの位出るかを評価します。(サクソンテスト)
③咬合力の評価
1)咬合測定装置を用いて、噛む力を数値で評価します。
2)噛む機能を果たしている歯の数を評価します。(残存歯数)
④舌と唇の運動機能の評価
装置を用いて、「パパパ…」「タタタ…」「カカカ…」とそれぞれ1秒間で何回発音できるか評価 します。
⑤舌圧の評価
舌圧計という装置を用いて、舌の力を評価します。
⑥咀嚼機能の評価
実際に専用のグミを噛んで、どの程度噛み砕く能力があるかを評価します。
⑦嚥下機能の評価
質問票にお答えいただくことで評価します。
以上の、①〜⑦の項目のうち、3項目以上で基準に満たない場合に、「口腔機能低下症」と診断されることになります。
⚠️これらの評価には、専用の装置が必要である項目もあるため、すべての歯科医院で診断が行えるわけではありません。「口腔機能低下症」について検査を希望される際には、事前に電話などで検査を行なっているかご確認ください。
また、歯周病でぐらつく歯があったり、残っている歯が少ない場合、むし歯が著しく進行しているような場合には、そもそも食べることが困難な状態であるため、まずはむし歯、歯周病あるいは入れ歯による治療を行なって、噛める状態を回復する必要があります。
その上で、検査結果を元に「管理計画表」を作成して、毎日の生活の中でできることについてアドバイスさせて頂いて、時々再検査を行いながら各項目の改善を目指します。
特に、50歳を超えると、自覚症状が無いまま、また、むし歯や歯周病について大きな問題が無いにも関わらず、いつの間にか「口腔機能低下症」が徐々に進行してしまうリスクが高まります。
これからは、定期的に歯科を受診した際に、むし歯や歯周病のチェックに加えて、口腔機能についてもチェックしてもらうことをオススメします☝️