こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。
今、本ブログをご覧いただいている方の中にも、これからの季節、目のかゆみや鼻がグズグズしたり、鼻が詰まったような感じに悩まされる花粉症をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
花粉症と同じように慢性的に鼻が詰まった感覚が続いたり、ひどくなると自分で鼻の奥に嫌な臭いが感じられるようになったり、歩く際の振動に合わせて頬骨の辺りがズン、ズンと響くようなニブイ痛みを感じるようになることもある病気が、副鼻腔炎(蓄膿症)。
実は、この副鼻腔炎、鼻からではなく、歯とくに長期に渡って放置されているむし歯や、以前神経をとったことのある奥歯が原因になっている事があるんです。
副鼻腔炎というのは頭の骨にある空洞(副鼻腔)に炎症が生じる疾患で、それが悪化して膿が副鼻腔に溜まってしまっているのが、いわゆる蓄膿症(ちくのうしょう)です。
そして、副鼻腔炎の中で最も大きいものが上顎洞と呼ばれる空洞で、頬骨の内側辺りに位置しています。
この上顎洞に生じる副鼻腔炎を上顎洞炎と呼びます。
歯科医院で撮影するパノラマレントゲン写真では、イラストのピンクの部分(実際のレントゲンでは黒)のように、歯や顎の骨と一緒に、左右に上顎洞が確認できます。
顔の左側(レントゲン写真では右側)を拡大すると、
このように、上顎洞の中に奥歯の歯根の先が突き出すように位置している事があります。
ただし、全ての方で、このように歯根が上顎洞に突き抜けているわけではありません。
上顎洞と歯根の位置関係は個人差が大きく、全く突き抜けておらず、上顎洞と歯根の間に距離が空いている方も多くいらっしゃいます。
上顎洞炎が生じていると、
パノラマレントゲン写真では、黒く写る上顎洞の中に白っぽくドーム状の炎症部分が確認できます。
上顎洞と歯根の間に距離があったり、上顎洞に歯根が突き抜けている歯が神経に達するようなむし歯でもなく、以前に神経を取る治療をした経験もない場合であれば、その上顎洞炎は鼻に原因があると考えられ、耳鼻科での治療が必要です。
しかし、むし歯がひどく進行していたり、神経を取る治療を経験している歯で、上のイラストのように歯根の先に黒い円状の影(根尖病巣)が生じていて、その歯の歯根を中心に、ドーム状の白っぽい炎症部分が見えるようであれば、
その歯のむし歯の原因菌が、歯根を通って上顎洞の中に到達して生じた上顎洞炎である可能性が高くなります。
むし歯が原因で生じた上顎洞炎は、歯性上顎洞炎と呼ばれ、原因となっている歯根の先の根尖病巣の治療を行う事で、上顎洞炎(副鼻腔炎)の症状も改善できる可能性があります。
逆に歯の治療をしないと、なかなか副鼻腔炎が治らない場合も考えられます。
慢性的な鼻詰まりや、歩く時に頬に響く様な上顎洞症状は、鼻が原因でも、歯が原因でも同じように生じるため、どちらが原因になっているのかはレントゲン写真と、むし歯の有無だけでは無く、歯の治療歴まで確認する必要があります。
耳鼻科で、歯が原因なので歯科を受診してください。と言われて来院される方もいらっしゃいますが、
たまたまむし歯の治療などで歯科を受診してレントゲン写真を撮ったら、副鼻腔炎を指摘されて逆に耳鼻科の受診を勧められることも。
いずれにしても、その副鼻腔炎の原因が鼻からきているのか、歯からきているのか、はたまた両方からなのかによって、必要な治療が異なります。
何となく慢性的に鼻が詰まっている方や、歩く時に頬に響くような症状のある方は、ご自分の上の奥歯の状態を確認してみてください。
放置しているむし歯があったり、神経をとって被せ物をしている歯が上の奥歯にある時には、その歯が原因になっている可能性があります。
気になる時にはお近くの歯科医院に相談してみてくださいね☝️