こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。
「歯周病は人類史上最も感染者数が多い感染症である。」
数々の世界記録が記載されている「ギネス世界記録」通称ギネスブックの2001年版にはこう記載されているそうです。
22年前なので、皆さんの中にはご存知の方も多いかも知れませんが、恥ずかしながら臼井は最近知りました。
もちろん歯周病の罹患率や感染者数が多いことは知っていましたが、人類史上となると「ヘェ〜」となりました。
また、日本では30代以上の80%以上が歯周病にかかっている。というお話しを耳にしたり、読んだことがある方もいるかと思います。
何とも恐ろしい割合の罹患率であるように感じます。
歯周病は、歯肉に炎症はあるが歯周組織の破壊には至っていない歯肉炎と、歯周組織の破壊が生じてしまっている歯周炎との総称です。
つまり、
❌歯周病=歯周炎=歯肉炎、
⭕️歯周病(歯周疾患)=歯周炎+歯肉炎
ということです。
歯肉炎は、歯肉が炎症を起こして腫れていたり、ブラッシング時に歯肉から出血したりするものの、歯と歯肉との間の歯周組織は破壊されておらず、適切なプラークコントロール(きちんと歯を磨くこと)で改善できるものです。
一方歯周炎は、歯肉炎を放置すると進行し、歯周組織が破壊されたり、さらに進行して骨が溶けてしまっている状態です。
歯と歯肉との間に、細い器具を入れてチクチクと検査されたことがある方も多いかと思いますが、これはポケットプローブという器具で歯と歯肉との間にある歯肉溝の深さを計測している検査です。さらにこの時に深さを計るだけではなく、その後(約30秒後)に歯肉溝からの出血があるかどうかも併せて評価しています。
正常な歯肉であれば3ミリ以内に収まりますが、4ミリ以上の歯肉溝は特に歯周ポケットと呼ばます。
4〜5ミリのポケットがある場合でも、歯周組織の破壊がなければ歯肉炎、歯周組織の破壊があれば歯周炎。ということになります。
何ともややこしい感じがしますが、少し乱暴ながら分かりやすく大まかにまとめると
歯肉炎は歯肉が腫れているだけ。→自分で歯磨きをしっかり行なって改善できる。
歯周炎は歯と歯肉の間の組織が破壊されている。→適切な歯周治療が必要。
どちらも歯周病と診断され、どちらにしてもブラッシング時やポケット検査時に出血がある場合は今まさに炎症が生じていると言えます。
共通するのは、いずれもプラークに含まれる細菌が原因となる。適切なブラッシングで予防することができる。
治療の第一歩として、まずは毎日のブラッシング習慣(時間、回数、ブラシの当て方)を見直して、改善すること。
歯周病の罹患率が高いというのは、
歯肉に全く腫れもなく、検査時に出血も認められず、歯石の沈着も認められず、ポケットも形成されていない人の割合が20%程度であるということで、
少し歯肉が腫れているだけの方も、すでに歯がグラグラになって抜けかけている方も全て合わせた場合です。
そう考えると大袈裟な表現のように思えますが、
歯周病は歯が動き始めるまでほとんど痛みも感じず、あまり食生活にも困ることのないまま進行してしまう疾患です。
歯肉炎なのか、歯周炎になってしまっているのかは、歯肉や歯の状態を見て、ポケットの深さを測定して、レントゲンを撮って歯根や骨の状態を確認しないと判断できません。
また、歯肉炎はブラッシングで改善できると言いましたが、
自分ではしっかりとブラッシングしているつもりでも、歯科医院で細かくチェックしてみると、ブラシが当たっていない部分や、歯間ブラシやフロスを使わないと十分にプラークが除去出来ていない事が少なくありません。
だからこそ、若いうちから定期的に歯科を受診する習慣を持っていただき、早い段階で確認しておくことをお勧めします‼️