血圧の薬を飲んでると歯肉が腫れるの❓

こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。

口腔内の二大疾患と言われているう蝕と歯周病。

う蝕も歯周病も、ブラッシング習慣や糖の摂取頻度などの生活習慣による部分が大きいため、生活習慣病と位置付けられることもある疾患です。

他の生活習慣病の中でも、高血圧症や糖尿病は歯周病の進行に大きく影響を及ぼすことが知られるようになってきました。

それぞれの生活習慣病は、原因となる生活習慣を改善することが何よりも大切になってきますが、思うように改善されない時には、それぞれの疾患や症状、原因に合わせたお薬を服用することで、数値の改善を図る投薬療法が必要となります。

血圧や血糖値を下げるためのお薬を毎日服用している方もいらっしゃるかと思います。

その中でも、今回は血圧を下げるお薬<降圧剤>を服用されている方に知っておいて頂きたいお話しです。

血圧を下げるお薬を飲んでいると歯肉が腫れる

という話を聞いたことがあるかもしれません。

これはかなり大雑把にいうと、そういうこともある。とも言えますが、正確ではありません。

血圧を下げる薬には、血圧を下げる仕組みによっていくつかの種類があります。

その中の一つである「カルシウム拮抗薬」という種類のお薬を服用している方の中には、副作用によって「歯肉増殖症」という歯肉の腫れが生じることがあります。

この「歯肉増殖症」による歯肉の腫れは、歯肉炎や歯周炎などで生じる炎症性の腫れと異なり、もっとモリモリっとした少し弾力のある見た目にも明らかな腫れが見られます。

また、歯の付け根全体ではなく、歯と歯の間(歯間部)の歯肉が部分的にこんもりと腫れるのも特徴的です。

さらに、「カルシウム拮抗薬」の副作用で生じる「歯肉増殖症」は、プラーク(歯垢)が発症の引き金になっていることが多いということなので、薬を飲んでいるだけではなく、加えて歯と歯肉の境目や、歯間部の根元に磨き残しが存在している場合に見られることが多いということになります。

つまり、

血圧を下げるお薬を飲んでいると歯肉が腫れる。

のではなく、

「カルシウム拮抗薬」に分類される血圧を下げるお薬を飲んでいて、ブラッシングが十分に行われていなかったり、適切なプラークコントロールができていない場合に、副作用として「歯肉増殖症」という歯肉の腫れが生じることがある。

ということです。

ただし、現在病院で飲むことを指示されている降圧剤を服用している方で、鏡を見たときに明らかな歯肉の腫れをみつけても、自分の判断でお薬を飲むことをやめてはいけません。

まずは、歯科医院を受診して、プラークを除去してブラッシングの仕方を教えてもらいましょう。

しっかりとプラークを除去することができれば、歯肉の腫れが治ることもあります。

それでも腫れが改善しない場合には、我々歯科医から主治医の先生に、お薬の種類を変更できないかお手紙等で問い合わせることができますので、それまではご自分の判断でお薬をやめたりしない様にお願いします。