歳をとったらこれまで通りの歯みがきじゃダメ❓①

こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。

 

前回、前々回のブログでは、誰でも「歳をとったら歯茎が痩せて歯が抜ける」訳ではなく、年齢を重ねるにつれて歯周病が進行してしまうと、歯を支える骨が大きく減ってしまい、その結果歯が抜けたり、抜かなくてはならない状態になってしまうことがある。

そして、歯周病の原因はプラーク(歯垢)が十分に除去できていないことにある。

ということをお伝えしました。

 

歯みがきは前から毎日ちゃんとやっていて、時折ムシ歯を治療することはあったけど、これまで歯周病も大きな心配はない状態をキープ出来ていた。

なのに、40歳を過ぎたあたりから定期検診で今までは問題なかった歯肉の炎症や軽度の歯周病を指摘されることが増えてきた。

今でも毎日歯みがきは続けているはずなのに、なんでだろう?

 

毎日、歯磨きをしているにも関わらず、40歳を超えたあたりから今までは心配なかった歯肉の状態に不安が生じてくることは、珍しくありません。

なぜ、そのようなことが起こりえるのか。

それは、これまでと同じ歯みがきの仕方では除去出来ていないプラークが残ってしまうようになっていることが、原因の一つとして考えられます。

そこには、年齢に伴って少しずつ生じてくる歯や歯肉に生じる変化(加齢変化)が関係してきます。

歯や歯肉に生じる加齢変化には、様々なものがありますが、今回は歯みがきを今まで通りしていてもプラークが残りやすくなってしまう原因や、新たにプラークが付着しやすくなってくる原因になり得る変化を挙げてみます。

まずは、歯に生じる加齢変化で、最もわかりやすいのが<形の変化>

夜寝ている時の歯ぎしりや、普段の生活における歯にかかる力(咬合力)などによって長い年月をかけて少しずつすり減ってきたり、時には硬いものを噛んでしまって小さく欠けていたり、ムシ歯で削った経験のある歯が歳を追うごとに増えてきたり、たとえムシ歯や歯周病について大きな問題なく過ごしていても、20歳の頃の歯の形と40歳になってからの歯の形とでは全く同じということはありません。

 

歯の噛む面(咬合面)だけではなく、歯の根元がすり減ってくるくさび状欠損は、きっかけは歯ぎしりや食いしばりと考えられていますが、歯の付け根を過度に磨きすぎたり、歯みがきの際の力の入れ過ぎによって徐々に深く大きくすり減りが進んでしまうことも少なくありません。

このような歯の<形の変化>が生じると、歯の間に食べ物が挟まりやすくなったり、これまでなかった隙間が生じてくることになります。

その結果、今までと同じように磨いているだけでは歯ブラシが届いていない部分が、知らないうちに増えてきて、そこに残ったプラークが歯肉に炎症を生じさせてしまうことにつながるということになります。

根元の磨き過ぎや、力の入れ過ぎについては、歯科医院での定期検診で指摘されたら意識してみることで、避けることもできるかもしれません。

歯ぎしり、食いしばりについても、保険適応のマウスピース(ナイトガード)を使用することで防ぐことができます。

しかし、それでも歯の形は少しずつ変化は生じてしまうもの、プラークの付着する部位や、付きやすさ、取れにくさもそれに伴って変化してくるものであること。だからこそ歯みがきの仕方も、それに合わせていく必要があるということを知っておいていただけたら幸いです。

 

次回は、年齢に伴って歯肉に生じる変化と、歯や歯肉の変化に合わせてどの様に歯みがきを変えていったらいいのかについてお話しします。