歳をとったら歯茎が痩せて歯は抜けるの❓①

こんにちは。仙台市若林区 おろしまち歯科医院  臼井です。

おろしまち歯科医院に来ていただいた高齢の患者さんから

歳とってきたから歯茎もどんどん痩せてくるのはしょうがないよね❓

最近、歯がどんどん弱くなってきた気がするけど、歳のせいだよね❓

もう歳だから頑張っても歯はだめになるだろうから痛みだけ無くなればいいよ。

といったお話を聞くことがあり、

「歳をとるに連れ、歯茎が痩せていずれは歯は抜けるものだ」

それが当たり前のことであると思っている方が、今でも非常に多いように感じられます。

定期的に歯科を受診してブラッシング指導を受けたり、歯肉の状態をチェックして変化がないかを記録し続けている方には、実はそうではない事がおわかり頂けている方もいらっしゃると思います。

確かに、年齢を重ねるにつれてお口の中の状態は少しずつ変化していくもので、

その一つに、

顎骨や歯槽骨の形成力の低下

が挙げられます。

骨は一度できたらずっと変わらないように見えますが、皮膚などと同様に古いものは壊され、新しく作られるという代謝によって保たれています。

健康な状態では、壊される骨の量と新たに作られる骨の量が同じであるため、骨が減るということはなく同じ形を維持できている訳です。

ところが、高齢になると全身的に細胞の活性が弱まり、新たに作られる骨の量よりも壊される骨の量が大きくなってしまうため徐々に骨が減ってしまいます。

じゃあ、やっぱり歳をとったら骨は減っていくから歯は抜けていくの❓

と思ってしまいますが、

健康な状態では、その変化は歯を支えられないほど骨が溶けてしまうようなものではありません。

しかし、「健康な状態では」というのが難しいところです。

年齢を重ねても、全身的に全く何の問題もなく健康だ!という方はとても素晴らしくうらやましいものですが、

歳を重ねるにつれて、様々な全身疾患や血圧、血糖値の変化などにより、内科や整形外科などを受診する機会が増えてきたり、定期的に通院を続けておられる方の方が多いかと思います。

年齢を重ねることだけで生じる骨の減少は、歯を失うほどのものではありませんが、

新たな骨を作る力が弱くなっていくのに加えて、さらに骨を溶かしてしまう要因があると歯を失うことにつながってしまうということになります。

その最大の原因が 歯周病 

高齢になってから初めて歯周病に罹患して骨が減り始めるわけではなく、ほとんどの場合20代の頃から徐々に痛みも症状もないまま進行し、40代を超える頃から免疫力の低下や、先ほどあげた全身的な変化や疾患などが影響し、歯肉の腫れや炎症が自覚症状として現れ始め、適切な処置をしないまま年齢を重ねることで骨が減ってしまうという事態が生じてしまうケースが多くみられる。

というのが、歳をとると骨が減って歯が抜けてしまう。の実態の一つと言えるでしょう。

だからこそ、早い段階で歯肉の状態を把握して、早期のうちに治療を行うことが非常に大切と言えますが、

高齢になったら諦めるしかないのか、というとそうではありません。

減ってしまった骨を戻すことはできませんが、そのまま残っている歯が抜けてしまうまで放置してしまうか、今の段階で残せる歯をできる限り保存することを目指すかで、食べられるものや、噛む力に大きな違いがあるばかりではなく、

全身的な健康についてもとても大きな差が生じる可能性があるんです。

 

次回は、その辺りのお話を。