ムシ歯を治したいのに歯石のクリーニングは必要❓②

こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。

前回のお話の続きです。

前回はこちら→「ムシ歯を治したいのに歯石のクリーニングは必要❓①」

ムシ歯の治療に歯医者に行くと必ず歯石の除去を先に進められるけど、これは本当は要らないことをやって、治療費をあげようとしてるんじゃないの❓

と思ったり感じたりしたことはあるけど、どこの歯医者に行っても同じだし、今ではそういうものだろうと何となく任せている。

という方がいるとしたら、歯科医院として十分に説明できていない可能性があるかもしれないと反省し、お家と基礎(土台)の例え話を挙げたものの、自分自身いまいちピンとこないなまま終わった前回😓

今回は、例えではなく実際のお口の中のお話で説明すると、

ムシ歯を治しても歯周病が放置され、その歯がもたなくなったら元も子もない

からです☝️

我々歯科医が師匠や諸先輩方から教えられる大切なことの一つに、

歯を一本一本見るのではなく、口の全体を一つとして見ること。ひいては身体全体に口の中の状態が及ぼす影響について考える。

ということがあります。

学生時代にはこれを歯科医としての心構えの様なものと思っていましたが、実際に診療で皆さんのお口を拝見したり、長い期間の経過をみせていただく様になってみると、

実際に一本の歯を失うことから繋がっていく負の連鎖を食い止めることは簡単な事ではない事を思い知ることになります。

一本の小さなムシ歯を削って埋めて治すことは、おそらくどの歯科医院でも1〜2回の治療で終えることができます。

では、何故その治療だけで終わらないのか。

話を戻して補足しますと、

歯を治すということは、目のに見える穴を埋める事が目的ではなく、

痛みがあればそれを解消し、

見た目の気になる感じや、喋りずらさなどを感じる事なく、

他の歯に負の影響を及ぼす事なく、バランスよく身体を支えることができて、

なにより、何でもしっかりと噛んでストレスなく食べる事ができる。

などなど、あげればキリが無い目的を目指します。

逆に言えば、全く問題のないお口の状態であれば、それらの目的は元々果たされていると言えます。

初めてもしくは、久しぶりに歯科医院にいらした方は、

それらの中で何かが損なわれた時に、

あ、歯医者にいこう。

と思われる方がほとんどかと思います。

とはいえ、小さなムシ歯ができたからといって全てがそうなるわけではありません。

ムシ歯自体は先程お話しした通り、1〜2回の治療でそれを改善できることが多いです。

しかしその様な理由から、その歯の周囲を含めてお口の中全体で問題がないかを調べてみると、他の問題の一つとして、程度の差はあれど歯肉の炎症や歯周病の進行が確認されることが多くあります。

日本人の成人の8割が歯周病に罹患しているとも言われています。

歯茎が腫れたり、歯磨きをすると歯肉から血が出る。などの症状が生じている場合には実感しやすいものですが、あまり気にせずにいると、痛みや腫れもないままに歯を支える骨や歯周組織の破壊が進み、歯が動き出したことに気がついた時には、どうにか進行を食い止めるしか無い状況に陥ってしまっていることも少ないとは言えません😔

 

といったことから、歯科治療の進め方の基準となる各種ガイドラインには共通して、う蝕治療や歯冠補綴、抜歯や欠損補綴に先立って歯周治療を進める、あるいは終えることが必要であることが書かれています。

保険診療での治療を行う際には、より厳密に治療を行う順番などが定められているのですが、そのような決まりがあるのも、先程長々とお話しさせていただいた理由があるからです。

これだけお話ししておいて、細かい点や実際の治療の進め方について全く触れていないことに気がつきましたが😅

またの機会に、もっと分かりやすく皆さんの治療を行わせていただく際にどのような理由から治療の順番を検討しているのかお伝えしたいと思います。