プラークと歯石って何が違うの❓

こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。

お口の状態を確認させて頂いた結果、歯肉に炎症が生じていたり、お口の清掃状態が良くない時や、定期的なメンテナンスに通っていただいている方に対して、

担当衛生士から

プラークコントロールを意識したブラッシングを目指しましょう。」

「染め出し液で、紫色(あるいはピンク色)に染まっている部分がプラークが付着している部分です。」

「超音波を用いて歯石を除去するスケーリングを行います。」

「今日は、麻酔をして歯周ポケットの深いところに付いている歯石を取り、歯根表面をツルツルに磨くスケーリング・ルートプレーニングをします。」

プラークはムシ歯の原因にも、歯周病の原因にもなる細菌の塊です。」

歯石を定期的に除去しておくことが歯周病を予防したり、進行を抑えていく上でとても有効です。」

などなど、皆さんそれぞれのお口の状態によって、説明やアドバイスをされた事があると思います。

もしくは、テレビの歯磨き粉のCMで、

「有効成分がプラークを分解して、しっかり除去します!」

「新たに開発した独自成分が、歯石の沈着を防ぎ、歯肉を炎症から守ります!」

といったフレーズを耳にしたことがある方は少なくないと思われ、

歯周病には、プラーク歯石が関係していて、予防したり、歯周病を改善したりするには、それらが付着するのを防いだり、除去することが大切であることはご理解いただいている方も今ではとても増えてきていると感じられます。

 

何となくは解るけど、プラークと歯石って何が違うの❓

 

〇プラーク(dental plaque)

プラークは歯肉に炎症を引き起こす最も重要な因子であり、歯肉炎ひいては歯周炎の初発因子である。すなわち、歯肉炎や歯周炎はプラークが存在しなければ生じてこないし、すでに生じている病変はこれを取り除くことによって改善する

プラークは口腔内細菌とその産生物からなり、歯面に強く粘着し、うがいでは取り除けないことを特徴とする細菌の集塊である。

プラーク1㎎(湿潤量)中には108個もの細菌が含まれ、25%以上は生きた菌である

(108個=100,000,000個=1億個!と、学生時代に驚いた事を思い出します^^;)

〇歯石

歯石はプラークが石灰化したもので、「口腔内の菌やほかの固体物上で、すでに石灰化したりあるいは石灰化しつつある沈着物」と定義される。

歯石はその付着部位により、臨床的に歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石に分けられる。

(中略)

1960年ごろは、歯石は歯周疾患の最も重要な病因と考えられていた。しかしその後の研究の結果、最も重要な因子はプラークであり、歯石の病因としてのおもな役割は、表面が粗糙(そぞう)であり、プラークを常に付着増殖させ、取り除きにくい状態を作り出していることにあることが明らかとなっている。

(加藤熈 著「最新歯周病学」第1版第4刷 医歯薬出版株式会社, 1998.)

つまり、

歯周病の原因はプラークであり、歯石はプラークが付きやすくて取りづらくするため間接的に歯周病を発症しやすく、進行しやすくしてしまうということです。

プラークは歯面に付着してから24時間以内に石灰化が開始され、徐々に固く取れづらい歯石になっていきます。

ということは、24時間以内にプラークを除去できていれば歯石は形成されません。

逆に、歯石が形成されているということは固ければ固いほど、それだけ長い時間、その部分にプラークが付着していた証拠でもあり、その間には当然プラークが原因で歯肉に炎症が生じる可能性が高いと考えられます。

プラークはうがいでは除去できませんが、機械的にこすり取ることで簡単に除去できます。

正しい歯磨きの仕方で、歯ブラシだけで除去できるプラークはおよそ60%

歯間ブラシやデンタルフロスを用いる事で90%近くを除去することが出来ると言われています。

それでも、どんなに頑張っても届きつらい部分には10%程度プラークが残ってしまい、日が経つにつれて歯石となることでよりプラークが付着しやすく取れにくくなってしまい、歯肉の炎症が生じてしまう可能性があるわけです。

これは、理想的な歯磨きができている場合で、そうでない場合にはもちろんプラークや歯石の沈着は避けられないことになります。

歯磨きは毎日しているのに、歯磨きの度に出血があったり、歯医者に行くと歯肉の炎症を指摘されたり、どうしたらいいの❓

●毎日の歯磨きが、プラークをしっかり除去できる磨き方で出来ているか、

●歯並びや詰め物、かぶせ物などの状態によって磨き残しが生じやすい部分を把握して、その部分を意識して磨くことができているか、

●歯石になってしまっている部分がそのままになっていないか、

などプラークを出来る限り除去するためには様々な事をチェックする必要があります。

お口の中の状態を良好に保つためには、ご自身に合わせた歯磨きの仕方をご理解いただいた上で取り組んでいただくことがとても効果的です。

定期的に歯科を受診してお口の中の状態やご自身の歯磨きの仕方をチェックしておくことは、忙しい毎日の中で限られた時間を無駄にせず、効率よくプラークコントロールを行う事ができるようになって頂くことにつながる事を知って頂けたら嬉しいです。