噛む力ってどの位❓

こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。

皆さんは日頃生活をしている中で、歯を食いしばったり、噛み締めたりする事はありますか?

・何かを持ち上げる時(重い荷物を持つ時やウェイトトレーニングなど)

・踏ん張ろうとした時(電車やバスに立って乗っている時やスポーツで瞬間的に力を入れる時など)

・集中している時(デスクワークや勉強、緊張感や没入感のある映画や動画を見ている時など)

・寒い時(とにかく寒い時など)

・感情的になった時(悔しい時、怒りが込み上げた時など)

・寝ている時(特に疲れていたり、お酒を飲んで酔っ払って寝た時など)

これら以外にも、様々な場面で意識的に行う事もあれば、気が付いていないだけで無意識に噛み締めている事があると思います。

 

通常、食事の際に物を噛むために発揮される咬合力(噛む力)は、男性で約60kg、女性で40kg程度であると言われています。

噛む力は、体重に比例していることが多く、およそご自分の体重程度の力が食事の際に顎に加わっているということです。

 

しかし、先に挙げたような噛み締めたり、食いしばったりする際の噛む力は、さらにその倍、成人男性であれば、100kg以上になります。

本格的にスポーツや格闘技、トレーニングをされている方の場合には、それ以上の力が奥歯にかかることもあり、時にはご自分の噛む力で歯が割れてしまうことも。

 

ただし、想像してみても何となくイメージしやすいかもしれませんが、もし自分の奥歯が無かったら重い物を持ち上げようとしても、食いしばる事ができず、今のように力を発揮することはできません。

つまり、逆にそれだけの噛む力を支えられるのは、親知らずをのぞいた上下左右2本ずつの大臼歯が、力を支えられる状態でしっかりと残っているからであり、1本でも歯を失うと、途端にその力は小さくなってしまいます。

また、支え合っている隣の歯がなくなったにも関わらず、同じだけの力(負荷)が加わっていると、その歯が噛む力に耐えきれずに持たなくなってしまい、結果的にさらに歯を失うきっかけにもなってしまいます。

たとえ失った歯が1本だけで、そこをブリッジやインプラントで補ったとしても、それまで揃っていた大臼歯で支えていた体重以上の力を、隣り合う残った歯が余分に支えることになるため、今度はそれらの残った歯の負担が大きくなることで、やがて耐えきれなくなってしまうことも少なくありません。

また、歯が残っていても、その歯がむし歯で痛くて噛めなかったり、歯周病でグラついていて噛めなかったりしていても同様に噛む力を発揮することができません。

歯、特に奥歯の役割は、物を噛み砕くばかりではなく、身体を支える際に踏ん張ったり、力を発揮する際の支えとなったりと、生きていく中で非常に大きな働きをしています。

噛み締めたり、食いしばったりすることが過剰になると歯にダメージを与えることもありますが、

逆に、しっかりと噛み締めたり、ここぞという時に食いしばることができるように、奥歯を丈夫保っておくことが健康的な生活を支えていることも覚えておいて頂けたら幸いです😌