こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。
昔から周りの大人に
「よく噛んで食べなさい!」
「丸飲みしてると頭に良くないよ!」
「よく噛まないと太りやすくなるよ!」
などなど、とにかく食事はよく噛んで食べた方がいいということを、理由は様々ながら教えられて育ったという方は少なくないと思います。
今回は、
これまではよく噛んだ方がいいとは言われ続けてきたけど結局のところ、
よく噛んで食べることは本当に良いことなの❓
何に良いの❓
小さい頃は親に言われて噛む様にしてたけど、大人になってもよく噛んでた方がいいの❓
と思ったことのある方、これまでよく噛んで食べようなんて思ったこともなかったという方へのお話です。
よく噛んで食べることには実はたくさんのいいことがあるんです。
①よく噛むことで脳が活性化
みなさんは、「脳の中のこびと」という言葉を聞いたことがありますか?
もしくは、「ペンフィールドのホムンクルス」と呼ばれることもありますが、
要するに、身体のどの部分を刺激すると脳のどの部分が働いているのかを実験して図に表したもので、
少し奇妙なヒトの形が描かれています。
この図で大きく描かれている身体の部分はそれだけ多くの領域の脳が働いていると考えられるということです。
身体の中で最も鋭敏で、細やかな動きができる部分といえば、多くの方が「手」を思い浮かべるかも知れません。
もちろん正解です。
「ペンフィールドのホムンクルス」において、感覚を司る右脳側(感覚野)でも運動を司る左脳側(運動野)でも、「手」が描かれている大きさは非常に大きいことがわかります。
その「手」が描かれているすぐ下に顔が描かれていますが、その口あるいは唇から少し下の辺りのカーブした部分にかけてが喉(咽頭部)に当たります。
この範囲に収まる部分は、実は全て食事をする時に刺激を受けたり、動かしたりしているところです。
注目して頂きたいのは、その範囲を合わせると食事をする際に使われる脳の領域は「手」を使うのとほぼ同じだけあるということ。
リハビリを行う際などには、「手」をよく使うことで脳を活性化して回復を促すことが一般的にイメージしやすいと思います。
食事をする際には、入り口である唇から、舌、頬粘膜、口蓋(うわ顎)、歯肉、歯、そして食道につながる喉に至るまで、必ず一連の刺激を受け、また動かすことで食べ物を飲み込むという動作をおこなっています。
その刺激が大きく、長いほど脳がより活性化することも想像しやすいところです。
また、食事で口が感じる感覚は、
熱い、冷たい、硬い、柔らかいなどの皮膚感覚は「手」と同様ですが、
味、食感、噛みごたえや歯ざわり、そしてそれらが複雑に合わさった感覚など、「手」が感じられる感覚と比べて非常に多種多様です。
一口一口をよく噛んで時間をかけて食べることは、脳をより活性化することにつながることから、「頭に良い」、逆によく噛まないで丸呑みをしてしまうことは「頭に良くない」という大人たちが言っていた言葉は根拠があったことなんだということが分かりました。
次回は、よく噛んで食べることは脳を活性化する以外にどのような効果があるのか、続けてお話しします。