こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。
今回は、ムシ歯じゃないのに、ムシ歯の様な痛みが生じるお口の問題についてのお話です。
「冷たいものが染みる。」
「歯みがきをする時にブラシが当たると鋭い痛みを感じる。」
「食事の時に物を噛むと痛い。」
歯医者に行こうと皆さんが思うきっかけの中でも、よく聞かれるのがこれらの症状です。
このブログを読んでくださっている方の中にも、まさに今気になっているという方や、自分も感じたことがあるという方も少なくないと思います。
毎日歯みがきは意識して頑張っているのに、この様な症状が生じて、
「まさかムシ歯になってしまった❗️❓」
「この痛み方は前にムシ歯になった時と痛み方が同じだ。これはムシ歯に違いない。」
と肩を落としながら歯医者に行ってみたら、
「ムシ歯ではなさそうですね。」
と言われて「❓」と感じたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、先に挙げたような症状が現れた時に、ミラーで見たり、レントゲンを撮ってみると明らかなムシ歯が生じていることも多く、その時にはムシ歯を削って型をとって詰め物をしたり、CR(コンポジットレジン)を詰めて治すことになります。
ですが、「ムシ歯ではありませんね。」と言われると、
ムシ歯じゃないのに、こんなにムシ歯と同じ様な痛みを感じることなんてあるの❓
と信じられない方や、ムシ歯だと言われる方が納得できるといった様子の方も実は少なくありません。
この様な症状の時に、ムシ歯以外に生じている可能性のある問題はいくつか考えられます。
①くさび状欠損
くさび(楔)は、「楔を打ち込む」や「楔を打つ」といった慣用句にも使われる様々な用途にはるか昔から使われている三角形の小片です。ドアを開けたままにしたい時にドアの下に噛ませて使うドアストッパーのような形というとイメージしやすいでしょうか。
歯ブラシの当てすぎ、力の入れ過ぎ、横みがきのし過ぎなど、誤った歯みがきの仕方を長年行っているうちに、歯の根元がくさびの様に鋭角にすり減ってしまい、歯の内側の象牙質が露出することで、冷たいものが染みたり、歯ブラシの毛先が軽く当たるだけでもズキンとする鋭い痛みを感じたりする様になる疾患です。
軽度なうちは、症状を感じて自分で鏡を見ても分かりにくいこともあり、ムシ歯かと思ってさらに頑張って磨いているうちにどんどんすり減りが深く進行して、症状もさらに悪化してしまうケースも見受けられことがあります。
この様な場合には、CR充填などですり減ってしまった部分を物理的に埋めることで物理的に露出してしまった根の表面を保護した上で、ブラッシングの問題点を改善することで症状が治ることがほとんどです。
埋めた後でも、ブラッシングの問題点が改善されていないと、歯よりも柔らかいCRなどの充填物がまたすり減ったり、新たにくさび状欠損が生じて症状が再発してしまうこともあります。
歯ブラシの仕方が主な原因と考えられてはいますが、
噛み合わせや歯ぎしりなどの力が歯の根元に集中することで、歯の外側を覆うエナメル質の端の部分が小さく欠けてしまい、そこを歯ブラシで強く擦ることで歯の根元が大きくすり減ってしまうことも考えられます。
CRなどの充填するほどのすり減りが生じていないけれど、強く染みる様な時には、知覚過敏抑制剤などを用いて症状の改善を図ることもあります。
次回も、くさび状欠損以外のムシ歯ではないのにムシ歯の様な痛みを感じるお口の問題についてお話しします。