こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。
先日、治療に来院された患者さんからご質問を頂きました。
「飼っている犬から人に、または飼い主から犬に歯周病がうつる事はありますか?」
ヒトと同じようにイヌも歯周病になることは知っていましたが、可愛がっているワンちゃんが飼い主さんの口をペロペロ舐めることで、歯周病がうつる事はあるのかどうか。これまでちゃんと調べたことが無かったので、今回ご質問を頂いたことを機に色々調べてみました。
あらためて、歯周病とは大まかに言うと、お口の中に存在するプラーク中の細菌が原因となり、歯肉の炎症や歯周組織の破壊が生じてしまう疾患のこと。
歯周病の原因菌は1種類ではなく、お口の中にいる多種多様な細菌(約900種類)の中で、歯周病が発症している部位から検出される、原因となっている可能性が高いものの総称です。
つまり、どの細菌が歯周病を引き起こしているのかを、ハッキリと特定することは困難ですが、歯周病のタイプによってある種の細菌が多く検出されたりすることで原因になっている可能性が高いということが推測されます。
中でもヒトの歯周病の原因で最も悪性強いと考えられているのが、
ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)
という細菌。
高度な歯周病や、急速に進行する歯周病の歯周ポケットの中に多くみられる偏性嫌気性菌(酸素が存在すると生育できない菌)です。
そして、今回調べてみて初めて知ったのが、
イヌの歯周病も、ヒトと同じような発症メカニズムのようで、そこに最も大きく関与している細菌が、
ポルフィロモナス・グラエ(Porphyromonas gulae)
実は、ジンジバリス菌とグラエ菌とは、歯周病の発症に大きく関与していると考えられている線毛という部分のたんぱく質では94%が同じDNAで、わずかな違いはあるものの、歯周病への関与の仕方や特徴もほぼ同様であるそうです。
そして、イヌなどの動物を飼っている(一緒に生活している)ヒトの16%から、このグラエ菌が検出されたという研究結果もあるそうで、
歯周病も、
人獣共通感染症…ヒトと脊椎動物の間で自然に伝播する疾病あるいは感染症
であるとされているそうです。
つまり、飼い主さんからペット、ペットから飼い主さん、双方向で細菌の感染は伝播すると言えるようですね。
大切な家族であるペットの為にも、お口の中の細菌を増やさないことが大切。
ペットは金魚やカブトムシなどしか飼ったことのない臼井が、今回調べてみて驚いたのは、動物病院などの獣医さんがイヌやネコの歯周病について詳しく解説しているブログやホームページがとても多いということ。
そして、我々歯科医が皆さんに歯周病の怖さや定期的なお口のメンテナンスが大切であることをお伝えしているように、獣医さんもペットの歯周病を放置することの怖さやメンテナンスの必要性について全く同じように書かれていること。
ペットを飼っている方は、ご自身やご家族みんなで定期的に歯科を受診してお口のメンテナンスを続けながら、家族の一員であるワンちゃん、ネコちゃんも定期的にお口のメンテナンスに連れて行ってあげてくださいね。
いよいよプロ野球が開幕しました。
今年の東北楽天ゴールデンイーグルスには、とても楽しみな要素が盛りだくさんでワクワクしますね。
全ての選手が、大きなケガをすることなくシーズンを乗り切って欲しいと思います。
頑張れイーグルス!!