上唇小帯 舌小帯 切らなきゃだめ❓

こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。

 

今、本ブログをご覧いただいている方の中にも、お子さんが歯科健診で、

「上唇小帯が前歯の間に入り込んですきっ歯の原因になる可能性があります。」

「舌小帯が短いため、舌たらずになるかもしれないので切った方がいいかもしれません。」

と指摘された事があるという方がいらっしゃると思います。

上唇小帯は、上唇をめくった時に前歯の間の少し上辺りから上唇の裏の粘膜に繋がっている筋(スジ)の事で、

舌小帯は、舌を上に上げた時に、舌の裏側、先辺りから中心にある筋(スジ)の事。

これらの小帯は、長さや硬さ、粘膜とどの部分でくっついている(付着しているか)には、個人差もあり、どのような状態の小帯が正しいということはありませんが、上唇小帯、舌小帯それぞれにおいて、付着の状態による問題が生じる場合には、時期をみて切除が必要になる場合があります。

<上唇小帯>

より歯に近い部分に付着している状態を高位付着と言います。重度に高位付着している場合には、前歯の間に入り込んでいるように見えることもあり、すきっ歯の原因になります。

目安としては、Blanch test(ブランチテストと呼ばれる、上唇を上方に引っ張ってみたときに、前歯の間の歯肉(歯間乳頭部歯肉)が白くなる貧血帯が現れるかどうかを確認します。

貧血帯が現れると、上唇小帯が前歯の間まで入り込む高位付着であると言えます。

しかし、貧血帯が現れるからといって、直ちに切除しないといけないかというと、そういうわけでもありません。

時期としては、両隣の側切歯( 2⏌⎿2)が萌出するまでは経過をみます。

上の前歯(1⏌⎿1)は、多くの場合少し隙間がある状態で生えてきて、そこから両側切歯が生えてくることで、両側から真ん中(正中)に向かって押し付けられることで隙間が閉じてくるためです。

両側切歯(2⏌⎿2)が完全に生えてきたときに、前歯の間に0.76mm(約0.8mm)以上の隙間が生じている時には、上唇小帯切除術が必要であると判断します。

 

<舌小帯>

舌小帯の場合には、付着の部位よりも小帯の長さや固さが問題になり、短い場合には「舌小帯短縮症」や「舌小帯強直症」と診断された際に、小帯切除術が必要となり、いずれの場合にも上唇小帯よりも早い段階で切除の必要性が検討されます。

舌小帯が短かったり、固い場合には舌の動きが制限されるため、哺乳や発音に影響を及ぼすためです。

哺乳の際には、舌と上顎の間に乳首を隙間なく挟む形にできることが必要となりますが、舌小帯に問題があると、それが出来ないために上手に哺乳することができないため、乳児の段階で切除することが必要となります。この場合は主に乳児検診などで指摘、治療が行われることがほとんどです。

哺乳が上手に行えるようであれば、治療にある程度協力できる4~5歳まで成長してから治療を行うことになりますが、ラリルレロの発音が上手く出来るようになる(ラ行の構音完成期)6歳前後には、治療が必要になります。

この段階で小帯切除が必要であるのに放置してしまうと、ラ行やサ行など舌を上顎や前歯につける必要のある発音が上手く出来ず、舌足らずの状態で癖がついてしまい、後に切除してから構音練習や舌の機能訓練が必要になることがあります。

小学校に入ると、国語の授業で発音をする機会も増えるため、必要な場合には出来れば就学前、年長さんの頃に小帯切除術を行う事がベストであると言えます。

舌小帯に問題があるかどうかの判断の目安は、舌を前にベーッと出した時に舌先がハート形になるかどうか。舌を上に挙げて上顎や前歯の裏に触れる事ができるかどうかを確認します。

定期的に健診に来てくれているお子さん達のお口を見せてもらう時に、出来るだけ本人とお話をさせてもらおうと話しかけているのには、発音や舌の動き方を確認させてもらう為でもあるんです☝️

心配な時には、ご自身で判断せずに一度歯科医院にご相談してみてくださいね。