こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。
これまでも、生物学的な人類の進化については興味があったので関連する本は読む事があったのですが、最近、ベストセラーとなった「サピエンス全史」の上巻をようやく読み終え、生物学的な視点だけでは無く、社会的、文化的な視点も合わせて人類の歴史を振り返ると、全てが繋がり影響し合って人類は進化してきたのだという、考えてみれば当然の事が、各々の視点からだけでは見えていなかったり、ともすると気づかないまま何かを知った気になってしまっていた事に気付かされました。
下巻まで読み終えたらまた何か物事の見え方が変わるかもしれないと楽しみです。
という事で、今回は<歯>からみた人類の進化についてのお話です。
現在の人類の歯の形やでき方(発生)については、テスト前に一生懸命勉強した記憶がありますが、歯の進化については、あまり熱心に受講していたとは言えないので断言は出来ませんが😓学生時代にチラッと習った記憶しかなかったので、改めて教科書をめくってみると、分量的にはやはりチラッとですがちゃんと書いてありました☝️
それによると、約5億年前に出現した最古の脊椎動物である無顎類の皮膚の表面に、現在我々の歯の本体を構成する<象牙質>から出来た結節(膨らみ)があったそうです。
この<象牙質結節>は、原始の皮膚として周りの変化を感じとる感覚器の機能を果たしていたようで、我々の歯の象牙質がとても鋭い感覚を持っているのは、その機能を受け継いでいるためとのこと。
この<象牙質結節>は、後に魚類では鱗として受け継がれ、サメなどの軟骨魚類では楯鱗(じゅんりん)として発達したそうです。
いわゆる<サメ肌>は、楯鱗という鱗が密集している事で出来ているそうですが、この楯鱗は、構造的に象牙質とエナメル質から構成されている。つまり、歯と同様の構造なのだそうです☝️
何だか不思議な気はしますが、歯は皮膚から進化したものなんです。
そして、口の無い無顎類の皮膚の一部が、進化の過程で少しずつ内側に入り込んで口を形成すると、その内側には当然<楯鱗>も並んでいます。
やがて、内側の<楯鱗>が、後に口となるくぼみに入ってきた食べ物を捕らえる役割を果たす様になり、歯が形成された。というのが歯の始まりだそうです。
「サピエンス全史」を読んだ後では、時間の流れを忘れてしましそうになりますが😅
この進化も、昨日皮膚にあった楯鱗が見る見る内に内側に入り込んで歯になった訳ではなく、約7000万年の間に世代を重ねて少しずつそうなっていったという事です。
進化の話を読んだり見たりすると、タイムラプス動画の様に、一つの個体が何だかどんどん変形していった様に感じてしまいますが、
最古の哺乳類が誕生してから今の人類になるまでが約6500万年と考えると、
<歯>も、皮膚の感覚器であった<象牙質結節>から途方もなく長い時間をかけて進化して今の我々とっても非常に大切な役割を果たしているんですね。
ちなみに人類の祖先が、現在のチンパンジーの祖先と枝分かれして誕生したのは約600万年前なので、数千万年という単位になると、もはや何がどう変わっていても不思議はありませんね😅
(参考)
三好作一郎 編著 後藤仁敏 小林寛 武田正子 花村肇 著 「簡明 歯の解剖学」 医歯薬出版株式会社,1996.
