こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。
一通りのむし歯の治療や、歯石を除去して歯肉の状態も安定した患者さんが、定期検診にいらした際に気になることを伺うと、
「歯みがきをしている時に、歯の根元にブラシが当たるとズキンとした痛みを感じます。」
とおっしゃる方が、実は結構多くいらっしゃいます。
歯科衛生士によるブラッシング指導をしっかりと聞いていただき、毎日の歯みがきも意識して頑張っているのに、まだ磨き残しがあってむし歯になってしまったのかも?
と、心配になってご相談いただくことがよくあります。
そこで、お口の中を確認させていただくと、特にむし歯ができている様子もなく、歯肉に炎症が生じている様子もありません。
むしろ、プラークを染め出してみても磨き残しは少なく、歯肉の状態は出血や腫れもなくとても良好なことが多いです。
定期的にお口の状態のチェックを受け、歯の根元のブラッシングが大切であることをご理解されていて、毎日の歯みがきを一生懸命されている方であれば、そのような状態であることは我々にとってもとても嬉しいことです。
なのに、歯ブラシが歯の根元に軽くあたっただけでもズキンと痛みがある。
それは、くさび状欠損になり始めている可能性があります。
鏡で見て、歯の根元が明らかにすり減っていたり、切り込んでいる様に見える様な時や、歯肉が下がって歯根が露出してきている場合にはご自身でもわかりやすいと思いますが、なり始めの時には、目を凝らしても隙間があるように見えないかもしれません。
元々の健康な歯と歯肉では、歯の外側を覆うエナメル質の端っこは、ちょっとだけ歯肉の中に位置しています。
くさび状欠損は、エナメル質の端っこが少しだけ欠けることから始まりますが、初期のくさび状欠損は歯肉に覆われているため、冷たいものや風が当たってもエナメル質が欠けた部分は歯肉にカバーされて特に痛みは感じませんが、歯の根元を意識して磨いた時に、細いブラシの毛先が歯肉の内側に入ると、欠けた部分に直接触れてズキンと痛みが感じられるということになります。
あれ?むし歯かも?
と思ってさらに一生懸命磨き続けていると、欠けた部分から歯のすり減りがどんどん大きくなり、やがて見るからに歯の根元が鋭くエグれて、くさび状欠損が大きく進行してしまう恐れがあります。
歯の根元を磨くとズキンと痛む時には、歯ブラシを強く当てたり、痛む場所を長く磨きすぎることのないよう、軽い力で優しく磨くにとどめて、歯科医院でチェックすることをお勧めします。
定期的にお口のチェックを受けていない方の場合はむし歯の可能性も十分に考えられますので、いずれにしても早めに確認してもらう様にしましょう。