歯は抜けたままでも大丈夫❓

こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 歯科医の臼井です。

前回は先天性欠如についてお話をしましたが、ムシ歯や歯周病、あるいはケガ(外傷)などが原因で歯を失ってしまう欠損が生じた場合、

●ブリッジ

●部分床義歯(部分入れ歯)

●インプラント

のいずれかの方法で、歯を失ってしまった部分を補う欠損補綴を行う必要があります。

しかし、少ない本数であれば、歯を失ってしまっても慣れてしまえば、実は意外と食事をしたりするのに不便は感じなかったりもします。

 

むしろ、痛みが強かったり、グラグラで噛めなかったりと辛い思いをしていた歯があった場合には、抜いたり、抜けたりする事で、その辛さから解放されて、前よりも食べやすくなったと感じる事もあるかもしれません。

 

そして、痛みも無くなり、食べるのにも特に不具合を感じない事で、何となくそのままになってしまっている方が、たまたまこのブログを読んで下さっていたら、

是非、早いうちに歯科医院に行くようにしましょう☝️

 

残念ながら歯を失ってしまった場合、失った歯の部位によって、後に様々なトラブルが生じる事があります。

 

歯周病などで骨が無くなったりしておらず、歯が歯槽骨にしっかりと支えられていれば、歯が動く心配は無いようにも思えますが…

 

実は、歯というのは

●隣り合った歯

●噛み合う歯

●舌

●頬

の力のバランスがとれているところに、たまたま並んでいるんです。

歯並びが作られる時期に指しゃぶりが続いていると、前歯が前に出てしまういわゆる出っ歯になってしまったり、

ワイヤーを使って歯に力をかける事で、歯並びをきれいに並べる歯列矯正が出来るのは、

力を加えると歯は動くという性質によるものです。

 

もちろん、歯周病などによって骨が溶けてしまっている場合よりも、しっかりと健全な歯槽骨に支えられている場合の方が動きにくい事はありますが、

 

●新たな力が加わったり

●逆にそれまで加わっていた力が無くなったり

●力が加わる方向や角度がかわ変わったり

と、力のバランスが変わる事で歯は動きます。

 

では、具体的に歯を一本失った際に、その後どの様な状況になっていくのか。

欠損部位によって異なりますが、

①一番奥の歯が抜けた場合

●噛み合う歯(対合歯)が失くなると歯が抜けてくる挺出(ていしゅつ)という現象が起こります。

挺出してきた歯が歯茎に当たるようになって傷をつけて痛みを生じたり、化膿してしまったり、それまで当たっていなかった手前の歯に当たるようになる事で、噛む時に痛みが出たり、噛みにくくなったり…

●変わって一番奥となった歯に、噛む際の力が強く加わるようになります。

大臼歯と呼ばれるいわゆる奥歯は、大きて強い力にも耐えられますが、5本目の第二小臼歯よりも前の歯は、形も小さく強い力が加わり続ける事で、周りを支える歯槽骨が溶けてきたり、歯そのものが欠けたり、割れてしまう事も…

その歯がダメになって抜けてしまうと、次に一番奥になった歯が同様に…。

 

②真ん中の歯が抜けた場合

●多くは後ろの歯が前に倒れてくる(傾斜)が起こります。

噛み合わせがずれる事で、噛みづらさが生じたり、

そうなると、噛みやすい場所でばかり噛むようになり、今度はそちらの力の負担が大きくなって、痛みや更なる力のバランスの崩れが生じたり…

いざブリッジや部分床義歯、インプラントを入れようと思ってもスペースが無いため、欠損補綴ができなくなったり、矯正によって傾斜を改善する必要が生じたり、

そうなると、期間や費用も大きくかかる事になったり…

 

③前歯の場合

●支えている歯が失くなると、上唇が内側に凹んでしまいお口を開けていなくても見た目に変化がら生じる事があります。

以前、有名なハリウッド俳優が、自分よりも高齢の役を演じる事になった際に、より見た目に年齢を感じさせるために、なんと前歯を抜いて役作りをしたとの逸話がありますが、

つまり、前歯が失くなると急激に老けた印象になってしまうんですね。

 

どの部位にしても、何が原因であっても、

まずは、歯を失うことを出来る限り避けていくために努力していく事が大切ですが、不幸にして抜かなくてはいけなくなった、抜けてしまった場合、

たとえ一本であったとしても、そのまま放置してしまうと後々大きなお口のトラブルにつながってしまう怖れがあるというお話でした。

 

抜けたまま、抜いたままになっている所はありませんか?