こんにちは。仙台市若林区 おろしまち歯科医院 歯科医の臼井です。
以前、歯の本数についてブログでお話しした事がありました。
そのブログは→ こちら
今回は、元々永久歯が生えてこない(作られない)、「先天性欠如」についてのお話しです😬
このブログを読んで頂いている方の中にも、「私もそう。歯医者に行った時に一本足りないですねって言われたことがあるよ。」という方がいらっしゃると思います。
⬆︎こちらは6歳の男の子のパノラマX線写真です。
生え変わりが始まった時期で永久歯と乳歯が混在している事がわかります。
実は1本だけ永久歯が足りません。
どの歯が欠損しているか探してみて下さい。答えは後ほど☝
では、この「先天性欠如」。どの位の頻度で発生するのでしょうか🤔
実は、歯の本数が足りない「先天性欠如」の発生頻度は、日本小児歯科学会の2010年の発表によると約10%だそうです。
10人に1人、100人いたら10人に見られます。
歯が足りないと言うと、なんだか心配になりますが約10%の割合となると、左利きやAB型と同じくらいなんです☝
意外と多いですよね😳
この「先天性欠如」の特徴は、
○上顎より下顎に多くみられる
○左右ではあまり差がない
○発生頻度が高い部位は、順に
①下顎第二小臼歯(下の前から4本目)
②下顎側切歯(下の前から2本目)
③上顎第二小臼歯(上の前から4本目)
④上顎側切歯(上の前から2本目)
です。
ちなみに、親知らず(智歯)も元々作られない事が多い歯ですが、この先天性欠如の割合には含まれません☝
さて、「先天性欠如」がそれほど珍しい事ではないことはお分かりいただけたと思いますが、
だからといって心配ないですよ!というわけではありません。
大人の歯(永久歯)の生える準備が整うと、子供の歯(乳歯)の根っこ(歯根)は溶けてきて、グラグラしてある時、ポロっと抜けて生え変わる。
というのが歯の生え変わりです。
歯の生え変わり方については→
もご覧になってみて下さいね☝
ところが、先天性欠如が認められる場合、後から生えてくるはずの永久歯が無いため、乳歯の歯根が溶けず、そのまま残ることが多いのです。
つまり、乳歯のまま使っていくことになります。
…大丈夫なの❓と不安になりますが、乳歯がムシ歯でもなく健全に残せている場合は、あまり心配ありません。
他の永久歯と同じように大切に残していきましょう👍
心配なのは、永久歯が欠如しているのに、乳歯が抜けてしまう、抜かないといけなくなってしまったケース😥
大きなムシ歯になってしまった場合は、将来的に残していく事が難しくなりますが、
実は、健全な状態で残す事が出来ている乳歯でも、生涯に渡って残ってくれるかというとそうもいかないのです。
残りやすさは欠如している部位にもよりますが、
最も頻度の高い第二小臼歯の先天性欠如で、残る事になる第二乳臼歯で40%以下というデータもあります。
約6割のケースで、どこかのタイミングで乳歯が抜けてしまうという事です。
乳歯が抜けても、前歯などの目立つ部位でなければ、急に食事が出来なくなったり、痛みが出たりするわけでは無いので、あまり気にならない方も多いかもしれません。
しかし、間の歯が一本足りないことで生じる歯列不正は、そのままにしておくと後に深刻な事態を招いてしまう怖れも。
その辺りのお話は改めて。
歯の生え変わりが始まる6歳前後には、ほぼ全ての永久歯が作られ始めている為、お口の中全体が見られるパノラマ X線写真を撮ることで、先天性欠如があるかないか分かります。
ここで、はじめにご覧頂いた6歳の男の子のパノラマX線写真の解説です。
⬆︎数字が永久歯、アルファベットが乳歯を表しています。
パノラマX線写真は写真に向かって左側がご自身の右側になります。ご自分を正面から向き合っているイメージでご覧ください。
この写真で見ると一目瞭然☝
正解は、右下の2番(右側下顎側切歯)✌
歯茎の中でも作られておらず、先天的に欠如している事がわかりますね。
今後、永久歯の生え方の経過をみていく必要はありますが、現時点では右下1と3の間に空隙が生じることもなく、そのまま生え変わりが進んでも大きな問題はないと予測されます。
定期的に歯科医院でチェックを受けていただくことは、ムシ歯や歯周病だけでなくお口の中全体の健康を守る為にもオススメですよ☝